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大阪高等裁判所 平成7年(行コ)62号 判決

大阪市西淀川区佃三丁目二〇番二一号

控訴人

日新化成株式会社

右代表者代表取締役

石井暎偉

右訴訟代理人弁護士

谷戸直久

大阪市西淀川区野里三丁目三番三号

被控訴人

西淀川税務署長 稲山三郎

右指定代理人

阿多麻子

桑名義信

湯田昭児

的場俊雄

内藤元子

主文

一  本件控訴を棄却する。

二  控訴費用は控訴人の負担とする。

事実及び理由

第一申立

一  控訴人

1  原判決を取り消す。

2  被控訴人が平成四年六月二六日で控訴人に対してなした法人税にかかる更正のうち、原判決添付別表1の確定申告等欄記載の所得金額、納付すべき税額を超える部分及び重加算税の賦課決定(但し、重加算税の賦課決定については、平成四年一一月二六日付異議決定により、過少申告加算税相当額を超える部分が取り消された後のもの)並びに被控訴人が同年六月二六日付でなした法人臨時特別税にかかる更正のうち、同表の確定申告欄記載の課税標準法人税額、納付すべき税額を超える部分は、いずれもこれを取り消す。

3  訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。

二  被控訴人

主文同旨

第二事案の概要及び争点

以下に付加訂正するほかは、原判決「第二 事案の概要」に記載のとおりであるから、これを引用する。

一  原判決三丁裏五行目冒頭「る」の次に「から、課税庁である被控訴人は、その必要もないのに本件土地の帰属という私人間の紛争に介入したものであって、この点でも違法である」を、同六行目及び同四丁表二行目の各「三項」の次に「二号」を、同八行目「『立替費用』」の次に「或いは『不当利得返還請求権』」を、同一一行目末尾の次に行を改めて次のとおり、それぞれ加える。

「4 更に、被控訴人が本件土地の所有者であると主張する訴外大阪観光株式会社(以下「大阪観光」という。)は、本件固定資産税を損金に計上したことも、原告の立替金として負債に計上したこともなく、本件各更正等が許されるとしたならば、当該課税年度における二重課税を容認する結果となるものであって、不当極まりない。」

二  同四丁裏四行目から五行目「株式会社(以下「大阪観光」という。)」を削除し、同六行目「あるから」を「あり」と改める。

第三証拠

原審及び当審記録中の証拠等目録に記載のとおりである。

第四当裁判所の判断

以下に付加訂正するほかは、原判決「第三 争点に対する判断」に記載のとおりであるから、これを引用する。

一  原判決八丁表一行目末尾の次に以下のとおり加える。

「なお、控訴人は、大阪府との売買契約当事者や本件土地の所有権移転登記名義人が控訴人であること、控訴人は代金を大阪観光から調達したが、その精算が未了であるため、控訴人の会計処理上本件土地を資産として計上できなかったに過ぎないこと、前記念書(乙二)は信用性がないことなどを挙げて、本件土地は控訴人の所有であると主張しているが、売買契約における買主、ひいてはこれによる所有権の取得如何については、その実質にしたがって認定すべきであるし、その余の主張についても前記認定の各事情に照らし採用できない。」

二  同九丁表二行目「租税公課について」を「固定資産税」と改め、同四行目「二二条」の次に「三項」を加え、同五行目「固定資産税」から同六行目「といって、」までを「そのことから」と改め、同行「これを」の次に「同項の」を加え、同七行目「これが」から同八行目「概念」までを「それは更に前述の要件」と改める。

三  同九丁裏九行目「ところで」を「もっとも」と改め、同一〇丁表六行目「解される」の次に「ところ、本件においては右特段の事情があるとは認めがたい」を加える。

四  同一〇丁七行目「本件においては」を「そうすると」と、同九行目「。また」から同裏五行目「できない」までを「という点において、前記損金の要件を欠くもの」と、それぞれ改める。同行から同六行目にかけての「そして、現実にも、」を「以上に述べたところは、法二二条三項の要件事実の解釈及び具体的認定、判断であって、控訴人が主張するような租税法律主義に反するところはないし、被控訴人の本件各更正等が私的紛争への違法な介入であるともいいがたい。また、控訴人は、本件固定資産税の損金算入を否定すれば、当該課税年度においては二重課税となると主張するが、」と、同行「右」を「前記」と、それぞれ改める。同一一行目末尾の次に「なお、前記認定の諸事実、特に右二の3で述べたところからすれば、課税所得の算定の見地からは、本件固定資産税の会計処理は立替金として計上すれば足り、これが一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に反するとはいい難いから、控訴人が当該事業年度においては大阪観光にその支払請求をしていないところから現実に立替金等として計上する会計処理をしていないからといって、被控訴人が本件固定資産税を損金に算入しなかったことが違法となるものではない。」を加える。

五  よって、本件控訴は理由がないから棄却することとし、民訴法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 富澤達 裁判官 古川正孝 裁判官 塩川茂)

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